建設業許可の経営管理責任者要件とは 改正後のポイントと合格するための実務ガイド
建設業許可を取ろうと考えているが、「経営業務の管理責任者」の要件が複雑で、誰が該当するのか判断に迷っていませんか。役職歴や実務経験、常勤性など、どの条件を満たせばいいのかが分かりづらく不安を感じているなら、このページで一つひとつ整理しながら確認していきましょう。
建設業許可における経営業務管理責任者要件の全体像

令和2年改正では、従来必須とされていた経営業務管理責任者の「配置」要件が廃止され、建設業許可の根幹が「建設業を適正に運営できるか」という能力ベースへ転換しました。
つまり「経営業務管理責任者とは何か」「経営管理責任者の定義はどう変わったか」を理解する際、今は特定の役職を置く制度ではなく、企業が経営能力をどう証明するかが中心になります。
現在の建設業許可では、常勤役員等のうち1名が所定の経営経験を証明する方法と、経営経験者を補佐する体制を整える方法のどちらかで要件を満たします。
特に経営管理責任者としての資格要件は、固定化された資格制度ではなく、役員の常勤性・経営関与の実態・客観資料による裏付けが重視されます。
| 対象者 | 該当可否 | 補足 |
|---|---|---|
| 常勤役員(法人) | 可 | 経験要件または体制で充足 |
| 事業主・支配人(個人) | 可 | 建設業の経営経験が必要 |
| 執行役員のみ | 不可 | 会社法上の役員に該当しない |
こうした枠組みの法的根拠は建設業法施行規則第7条第1号イにあり、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」が許可要件として明確に位置づけられています。
では、具体的に「常勤役員等」としてどのような種類の経験や地位が求められているのかを詳しく見ていきましょう。
経営業務管理責任者の経験要件と常勤性の判断基準

建設業 許可 経営管理 責任者 要件で最も重視されるのが、経験年数と常勤性の2点です。
まず経験要件は、令和2年改正後の現行ルールでは「常勤役員等が建設業の経営に関与した実務経験を証明できるか」が中心になります。
経験として評価される区分は次の3種類に整理され、いずれも建設業に関する経営実態の証明が必要です。
常勤役員等として5年以上の経営業務経験
経営業務の執行を委任された支店長等として5年以上の経験
経営業務を直接補佐した6年以上の経験
これらは建設業法施行規則7条1号イ(1)〜(3)に対応し、(2)(3)は審査で個別判断が入るケースが多く、実際資料の整合性が重要です。
学歴や資格で代替する制度はなく、必要年数も短縮されません。年齢要件も明文化されていないため、実務経験を満たせば年齢そのものは不問です。
次に常勤性の判断基準ですが、審査では「会社に実際に常勤して業務を担える状態か」が問われます。
もっとも重要な資料は社会保険加入状況であり、ここで常勤役員としての在籍が確認されない場合、経験要件を満たしても不適格と判断されることがあります。
勤務実態は、通勤可能な距離か、他社で常勤役員を兼務していないか、実際に会社で職務を行える健康状態かなどを総合的に見られます。
- 他社で常勤役員を兼務
- 事実上の非常勤(勤務実態なし)
- 遠隔地居住で現実的に通勤不能
- 他の法令で専任が必要な職務との重複
- 社会保険の常勤加入が確認できない
これらは典型的に常勤性が否定される例で、必ず避ける必要があります。
特に健康状態については、体調上勤務ができないほどの状況だと常勤性を欠くと判断される可能性があるため、無理のない勤務実態が重要です。
こうした基準を満たして初めて、経験と常勤性の要件が成立します。
経験と常勤性が確認できたら、次に重要となるのが、その証明をどう行うかという点です。
経営業務管理責任者要件を証明するための書類と実務手続き

建設業 許可 経営管理 責任者 要件を立証するうえで一番重要なのは、常勤役員等の経歴と経営関与の実態を客観資料で示すことです。
まず必要書類の全体像から整理します。
常勤役員等証明書(様式第7号)
常勤役員等+直接補佐者証明書(様式第7号の2)
略歴書
登記事項証明書
契約書・請求書・入金通帳などの経歴証明資料
社会保険加入状況の確認資料
許可申請 フロー ステップに応じた添付資料一式
こうした経営管理責任者 必要書類 リストは、群馬県の手引きでも必須とされており、経験要件か体制要件かによって書類構成が変わります。
| 書類名 | 内容 | 提出先 |
|---|---|---|
| 常勤役員等証明書 | 経験要件に基づく常勤性と経営関与の証明 | 県土木事務所 |
| 常勤役員等+直接補佐者証明書 | 体制要件での経営補佐体制の証明 | 県土木事務所 |
| 略歴書 | 役員等の職歴を時系列で記載 | 県土木事務所 |
| 登記事項証明書 | 役員就任日・常勤性の根拠確認 | 法務局発行→県土木事務所提出 |
| 契約・請求・入金資料 | 経歴証明 取り方の中心となる客観証憑 | 県土木事務所 |
書類の取得と確認手続きは、許可申請 フロー ステップに沿って進めるのが安全です。
まず法人なら役員登記の取得、次に略歴書の作成、続いて契約書・請求書・通帳の年度別整理を行い、最後に様式第7号または7号の2で常勤役員等の立証を行います。
経歴証明 取り方としては、工事契約書と請求書が最優先で、補完として振込記録や元請からの指名通知などを追加するのが定番です。
- 年月が一致しない
- 契約金額の整合が取れない
- 社会保険加入日と登記日在職期間が矛盾
- 許可更新 必要書類の控えが残っていない
- 工事資料が一式揃わず、実態が不明確
これらは書類不備 防止ポイントとして必ずチェックすべきところであり、小さな齟齬も審査で否認されやすいので事前点検が必須です。
書類を整えたとしても、すべてのケースで要件が認められるわけではありません。ここからは、実際に認定されたケースと否認されたケースを比較して理解を深めましょう。
経営業務管理責任者要件が認められた事例と否認された事例

まず一番重要なのは、審査が「役職名」ではなく「経営関与の実態」と「客観資料」によって判断される点です。
ここでは、建設業 許可 経営管理 責任者 要件が認められたケースと否認されたケースを対比して整理します。
合格事例(役員経験と契約実績が明確に立証できたケース)
常勤役員として5年以上在任し、工事契約書・請求書・入金記録が年度別に揃っていたパターンです。
社会保険の加入状況も常勤性と一致しており、行政側が重視する「経営実態」を矛盾なく示せたことがポイントでした。
| 条件 | 認定結果 | 理由 |
|---|---|---|
| 役員在任5年以上 | 認定 | 登記事項証明と保険加入時期が一致 |
| 工事契約・請求・入金資料が揃っている | 認定 | 経営関与の実態を客観的に裏付け |
| 常勤性の確認が容易 | 認定 | 通勤可能距離で勤務実態に矛盾なし |
| 補佐者体制なし | 問題なし | 経験要件だけで充足 |
否認事例(役職はあるが実態を裏付ける資料が出せなかったケース)
名義上は役員だが、在任期間を証明する資料が不足し、工事契約書や請求書の整合も取れず、実態が見えないため否認されたケースです。
特に行政運用基準 判例に近い扱いとして「書類の齟齬=実態不明」と判断される傾向があります。
よくある不許可理由
- 役員在任期間はあるが工事実績を示す客観資料が不足
- 社会保険加入が「非常勤扱い」とみなされ常勤性が否定
- 補佐体制で申請したが、補佐者の経歴資料が不十分
不許可回避の対策
- 工事契約書・請求書・通帳記録を年度別に整理し、整合性を完全に揃える
- 登記・保険情報・勤務実態を同じタイムラインで説明できるよう準備する
- 補佐体制を用いる場合は、補佐者の経歴資料も同水準で整えること
では、こうした審査結果を踏まえて、経営業務要件を満たし続けるためにどのような体制維持と手続きが必要なのかを見ていきましょう。
経営業務管理責任者要件を維持するための体制と変更時の対応

建設業 許可 経営管理 責任者 要件を維持するためには、まず常勤役員等を中心とした内部体制を安定させ、経営能力の根拠となる資料を常に整備しておくことが重要です。
特に建設業法 の関連条文である施行規則7条1号イが求めるのは「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」であり、役職名よりも実態と証憑が評価の対象です。
常勤役員の異動、支配人の退任、補佐者の変更があった場合は、そのまま放置すると要件不充足と判断される可能性があるため、体制の安定運用が最優先になります。
経営管理責任者と専任技術者の違いについて問われることが多いですが、答えは「役割が全く異なるが、同一営業所内であれば兼務は可能」です。
ただし、常勤性や他社との兼務状況に矛盾があると不適格と判断されるため、勤務実態の管理が必須です。
代表者変更手続きが生じた場合や、常勤役員の構成に変更が入った場合は変更届の提出が必要で、経営管理責任者兼任禁止規定という制度は存在しないものの、実務上は常勤性や専任性が妨げられる状態が生じていないかの確認が必須です。
変更届を提出すべき具体的事由としては、常勤役員等の退任・就任、補佐者の追加や削除、支配人の変更、営業所の移転などがあります。
建設業 許可 経営管理 責任者 要件を満たさなくなった場合でも、直ちに許可が失効するわけではありませんが、是正を怠れば不許可・処分のリスクがあるため、次の対応ステップを確実に実行することが必要です。
変更点の確認
必要書類の準備と届出作成
行政庁での審査対応
指摘事項の修正
手続き完了の確認
審査では、常勤役員等の在任実態と社会保険の整合性が特に厳しく確認されます。
専任技術者と経営管理責任者の違いを理解しつつ、同一営業所での兼務が適切に成立しているか、勤務時間・通勤実態・他社役職との関係に矛盾がないかを丁寧に整理する必要があります。
代表者変更手続きが発生した場合も、登記変更だけで済ませず、必ず行政庁への変更届で整合性を確保することがポイントです。
維持体制を整えたうえで、実際の申請プロセスをスムーズに進めるためには、専門家の支援を活用することが効果的です。
専門家支援と経営管理責任者要件の事前診断の重要性
建設業 許可 経営管理 責任者 要件を確実に満たすためには、申請前の段階で専門家に診断してもらうことが最も効果的です。
とくに行政書士などの専門士業の活用方法としては、役員登記・工事実績・社会保険状況の整合を一度でチェックできる点が大きな強みです。
経験要件と体制要件のどちらで申請すべきか、専任技術者との兼務が可能か、証憑の不足部分はどこかなどを初期段階で明確にできるため、成功率を上げるポイントとして非常に重要です。
中小企業支援制度の解説よりも、まず自社体制のリスク把握が優先される場面が多いので、早めの相談が効果的です。
事前診断で明らかになるのは「要件を満たせるのか」だけではなく、「どの方式なら通るのか」という具体的な道筋です。
専門家相談窓口では、常勤役員等として証明できる期間や、補佐者を置く体制でいけるかを細かく検討してくれます。
その際に、相談時に確認すべき項目を整理しておくと、判断がより正確になります。
常勤役員等として証明できる在任期間
建設業の工事契約・請求・入金資料がどれだけ揃っているか
体制要件を使う場合の補佐者候補の経歴
専任技術者との兼務可否と常勤性の整合
変更届が必要になる可能性の有無
これらを確認することで、申請代行事務所の選び方も自然に絞られてきます。
経験要件に強い事務所か、体制要件に慣れている事務所か、資料組成の細部までチェックしてくれる事務所かなど、強みがそれぞれ異なるため、自社の状況に合う支援者を選ぶことが重要です。
申請代行のスタイルだけで判断するのではなく、過去の案件で不許可から挽回した実績や、契約書・通帳の読み込み精度など、実務の質を見極めることが成功率を上げるポイントになります。
次のセクションにつながる自然な文: 最後に、経営業務管理責任者の要件に関してよく寄せられる質問を整理し、理解を深めていきましょう。
経営業務管理責任者要件に関するよくある質問
Q1. 経験要件を満たせない場合でも申請できますか?
可能です。常勤役員等の中に経験要件を満たす人がいない場合でも、直接補佐者を配置する補佐体制で要件を満たす方法が認められています。補佐者にも経営業務を補佐した経歴の客観資料が必要で、審査では役職名よりも実際関与度が重視されます。
Q2. 審査期間目安はどれくらいですか?
大体1〜2か月です。ただし提出書類に齟齬がある場合は延びることが多く、工事契約・請求・入金資料の整合が保たれているかが期間に大きく影響します。行政問い合わせ質問例としては「常勤性の判断基準」「補佐体制での申請可否」がよくあります。
Q3. 申請書のよくあるミスは何ですか?
以下のような誤りが最もよく発生します。
- 登記事項証明書の在任期間と社会保険加入日の不一致
- 工事契約・請求・入金資料の年月整合が不十分
- 補佐者を使うのに略歴書の役職が断片的
- 常勤性を示す勤務実態の説明不足
ミスが発生すると補正指示が出て、審査期間が長くなるので提出前点検が必須です。
Q4. 不許可になった場合、不服申立て手続きは可能ですか?
可能です。行政不服審査法による不服申立てができ、処分通知を受けてから原則60日以内に提起します。ただし資料不備などの単純ミスであれば、補完資料を整えて再申請する方が実務的に早い場合が多いです。
Q5. 法改正の影響を確認する方法は?
最優先答えは「自治体の手引きを定期的に確認すること」です。令和2年改正では従来の経営業務管理責任者の配置制度が廃止され、常勤役員等の経験または補佐体制で満たす現行方式へ大きく変わりました。改正履歴比較表を確認しておくと、書類構成や審査観点の違いが理解しやすくなります。法改正は審査運用に直結するため、申請前に最新手引きと自治体Q&Aをチェックしておくことが重要です。
建設業 許可 経営管理 責任者 要件のまとめと判断のポイント
経営業務の管理責任者として認められるかどうかは、建設業許可の中でも最も重要かつ判断が難しい部分です。法人の場合は常勤の役員などが、個人事業主の場合は事業主本人や支配人が該当するケースが多いですが、「常勤性」「経営経験年数」「建設業に関する経験の有無」など複数の条件を総合的に満たす必要があります。また、過去の勤務先が許可業者であったか、契約・請求書などで具体的な経営関与を証明できるかも重要な要素となります。
これまで解説してきたように、必要書類を正しく揃えれば申請は可能ですが、経験の判定や証明方法には細かな注意点があります。特に、中小建設業者や一人親方の場合、「自社に要件を満たす人材がいるか分からない」という不安が大きなハードルになります。このような場合は、客観的資料をもとに経営管理責任者要件を個別に確認し、問題点を早めに洗い出すことで許可取得までの時間とリスクを大きく減らせます。
つまり、建設業許可を確実に進めるための第一歩は、「自社に適任者がいるか」を明確にすることです。複雑に見える要件も、整理して検証すれば必ず道筋が見えますので、不安なまま申請を進める前に、自社状況を丁寧に確認しておくと安心ですよ。


