左官工事業とは?建設業許可の取得条件と手続きガイド
~ モルタル・漆喰・壁仕上げなどの工事を請け負うアナタへ、許可取得の基本を解説 ~

左官工事業の定義と範囲
左官工事業とは
左官工事業は、建物の壁や床にモルタルや漆喰などの材料を塗り、表面を仕上げる工事を行う業種です。
建設業許可の業種区分においては「工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事」とされています。
伝統的な技術から、近年の内装仕上げ工事まで広く対応する業種です。
具体的な工事例
- モルタルやしっくいの壁塗り・下地仕上げ
- 吹付け工事
- 外壁の塗り仕上げ(リシン・ジョリパットなど)
- 伝統工法による土壁の施工や補修
左官工事業の特徴と他業種との違い
左官工事は、「コテ」を使って塗り仕上げることが多いのも特徴です。見た目だけでなく、防水性・耐久性にも関わるため、仕上げ工事の中でも重要なポジションを担います。とはいえ、吹付け工事も含まれる点は注意が必要です。
似た業種との違いを整理しておきましょう。
- 内装仕上工事業:クロス貼り・床材施工などの仕上げを担当。左官は「塗り」での仕上げが中心。
- 塗装工事業:塗料を吹き付け・ローラー等で施工。
- タイル・れんが・ブロック工事業:タイル貼りそのものが対象で、左官はあくまで下地調整や仕上げ。
「仕上げ工事だけど、道具も材料も違う」というのが、左官ならではの専門性です。技量の差も出やすく、職人としての腕がなる仕事が多いですよね。
建設業許可取得の重要性
法令遵守の観点
建設業法では、1件あたりの請負代金が500万円(税込)以上となる場合、建設業許可が必要です。
左官工事は新築・リフォームを問わず、面積や建物規模に応じて高額になりやすいため、金額に注意しておくことが大切です。
許可取得のメリット
- 元請業者からの受注拡大・継続的な取引につながる
- 公共工事・ゼネコン案件など、大規模案件に参入できる
- 顧客からの信頼度・信用が向上する
- 無許可営業によるリスク・罰則を回避できる
左官工事業で認められる資格一覧
専任技術者として認められる主な資格
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに「専任技術者」を配置する必要があります。
以下は、資格のみで左官工事業の専任技術者として認められる主な資格です。
- 一級建築施工管理技士
- 二級建築施工管理技士(仕上げ)
- 技能検定「左官」(1級左官技能士)
- 登録左官基幹技能者
- 登録外壁仕上基幹技能者
上記の資格がない場合は?
資格を持っていない場合でも、以下のいずれかに該当すれば専任技術者になれます。
- 学歴+一定年数の実務経験(例:土木工学又は建築学に関する学科+5年(大学は3年)以上の左官実務)
- 10年以上の左官工事の実務経験
- 資格+資格取得後の実務経験(例:2級左官技能士+資格取得後の実務経験3年)
学歴・経験の組み合わせによっては要件を満たせるケースもありますので、「資格がないから無理かも…」と思わず、まずはご相談ください。
左官工事業の許可申請手続き
必要書類と申請手順
- 建設業許可申請書(様式第1号など)
- 経営業務の管理責任者の経験証明書類
- 専任技術者の資格証または10年以上の実務経験証明
- 財務書類(直近の決算書など)
- 営業所の使用権を示す書類(登記簿謄本・賃貸契約書など)
- 納税証明書、登記事項証明書 など
提出から許可取得までは通常1〜2ヶ月ほどかかります。
申請時の注意点
- 自己資本500万円以上 or 預金残高証明で資力を証明
- 専任技術者の常勤性・資格または実務経験が必須
- 経営業務の管理責任者の要件(5年以上の経験など)を満たす必要あり
- 社会保険・労働保険の加入も審査対象
まとめ:専門家による支援の重要性
複雑な申請プロセス
左官工事業では、伝統技術を持つ個人事業主も多く、経験や実績の「証明書類の整備」が難しいことがあります。
また、塗装や内装仕上など他業種との区分もややこしいため、申請時にはしっかり確認が必要です。
行政書士に依頼するメリット
「塗装工事業の許可は持っているけれど、左官もやっている場合は別で許可が必要なの?」
そんなご相談をいただくことも少なくありません。
現場では“左官”としての自覚があっても、建設業法上では別業種に区分されるケースがあります。
知らずに該当する工事を無許可で行ってしまうと、行政処分の対象となるリスクも。
当事務所では、お客様の施工内容や実績を丁寧にヒアリングし、必要な許可の判断から書類作成・申請までトータルでサポートしています。
「うちの仕事って左官工事業に該当する?」といったお悩みも、お気軽にご相談ください。
注意:法律・制度は改正される可能性があります。本記事の内容は最終更新日時点のものです。最新かつ正確な情報については、関係機関への確認や専門家へのご相談をおすすめします。
また、本記事は群馬県を基準に執筆しており、他地域では異なる場合もありますのでご注意ください。
当事務所では、常に最新の情報提供に努めております。ご不明点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。