建設業許可に必要な主任技術者とは 資格要件から配置義務まで徹底解説

建設業許可を取るために「主任技術者」が必要なことは知っているけれど、資格や実務経験の基準が複雑でどれが自社に当てはまるのか判断できない…。そんな不安を抱えているなら、この先で整理して理解できるはずです。許可取得に迷いを感じているあなたへ、要件の全体像をわかりやすく紐解いていきます。

建設業許可における主任技術者の役割と定義

建設業許可における主任技術者の役割と定義

主任技術者とは何かと聞かれた場合、最も重要なのは「すべての工事に配置が必須であり、元請・下請の別を問わず技術管理を担う存在である」という点になります。建設業許可とは現場ごとの技術管理体制を前提に成り立つ制度であり、その中心に位置するのが主任技術者です。

主任技術者とは、建設業法に基づき各工事現場に必ず一人配置され、施工計画の確認、品質確保、安全管理などの実務を総合的に担う技術者を指します。監理技術者が必要となる規模の工事を除き、すべての工事で主任技術者が現場の技術的責任者となり、建設業許可とは切り離せない存在として扱われます。

主任技術者の職務内容は次のとおりです。

  • 施工計画に基づく技術管理

  • 品質管理および施工状況の確認

  • 安全衛生の確保とリスク対策

  • 下請業者への技術指導

  • 発注者への報告・調整業務

主任技術者とは現場の管理者というだけでなく、工事の信頼性を担保するための中核的役割を持つため、建設業許可とは密接に関連しています。主任技術者が適切に配置されていなければ、許可業者としての施工体制が成立せず、行政処分につながる可能性もあります。

主任技術者の役割を理解したところで、次にどのような資格や経験を持つ人が主任技術者になれるのかという要件を見ていきましょう。

主任技術者になるための資格要件と実務経験基準

主任技術者になるための資格要件と実務経験基準

主任技術者建設業許可で最も重要なのは、主任技術者の要件が法律で明確に定められており、建設業法第7条第2号イ・ロ・ハのいずれかに該当する必要がある点です。主任技術者資格要件は、担当する許可業種と資格区分が一致していなければ認められないため、まず自分が従事する業種と保有資格が整合しているかの確認が最優先になります。

主任技術者の実務経験要件も法令上の重要ポイントで、資格がない場合でも実務だけで主任技術者になる道が残されています。実務経験は帳簿・契約書・工事書類などで客観的に証明できることが前提で、単に「働いていた」という主張だけでは要件を満たさない点に注意が必要です。主任技術者の学歴要件としては、指定学科を修了したうえでの実務年数が区分されており、学歴によって必要な経験期間が変動します。

ここで主任技術者になるための代表的な4つのルートを表で整理します。資格要件・学歴・実務年数をまとめた基本比較です。

要件分類 具体的内容 備考
国家資格 1級・2級施工管理技士など 許可業種と資格区分が一致すること
学歴+実務 指定学科卒+3〜5年以上の実務 学歴区分により必要年数が異なる
実務のみ 10年以上の実務経験 証明書類が必須
特例 旧制度資格や技術検定一部合格など 業種ごとに認定可否が異なる

主任技術者資格要件を満たさない場合でも、実務経験10年以上で主任技術者になれる可能性があります。この場合、工事件数よりも「期間の連続性」と「担当内容の具体性」が重視されます。証明方法として多いのは、請負契約書、注文書、請求書、工事写真、仕様書などで、客観資料が揃っていれば複数年分をまとめて証明することも可能です。

ここまでで主任技術者の資格や経験要件を確認できました。続いて、主任技術者と専任技術者・監理技術者の関係性と違いを理解しておきましょう。

専任技術者・主任技術者・監理技術者の違いと兼任可否

専任技術者・主任技術者・監理技術者の違いと兼任可否

主任技術者建設業許可でまず押さえるべきなのは、建設業には営業所に配置される専任技術者(営業所技術者)と、現場ごとに配置される主任技術者・監理技術者の二層体制がある点です。専任技術者と主任技術者の違いは、前者が許可維持のため営業所に常勤する技術者であるのに対し、後者は工事現場ごとに技術管理を行う点にあります。二役割は目的自体が異なるため基本的に兼任は許可されていません。

監理技術者との違いも非常に重要です。主任技術者は全ての工事に配置される現場技術者であり、監理技術者は元請として受注し下請総額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)となる規模の現場で主任に代わって配置される上位資格者です。監理技術者は専任が前提となる場合が多く、複数現場の兼任は認められません。

二層の役割の違いを以下の表で整理しました。

技術者区分 主な役割 兼任の可否 配置義務
専任技術者 営業所で許可業種を管理し、常勤で技術体制を維持 原則不可(群馬県の例外要件で一部可) 営業所ごとに常勤配置
主任技術者 全工事で施工管理・品質・安全・調整業務を担当 専任制の工事は不可 すべての工事に配置
監理技術者 大規模元請工事で下請管理・品質確保を統括 専任が必要な現場は不可 下請総額4,500万円以上等で配置

兼任特例が認められるケースはかなり限定的であり、群馬県運用では以下の条件をすべて満たす場合に限り、営業所技術者が主任技術者を兼ねられる場合があります。

  • 営業所で契約した工事であり、営業所と現場が近接している

  • 個人住宅工事または請負金額4,000万円未満(建築一式8,000万円未満)

  • 常時連絡可能で技術管理に支障がない体制が確保されている

各技術者の役割と兼任ルールを把握したので、次は主任技術者をどのような現場に配置する必要があるかを確認していきましょう。

主任技術者を配置しなければならない工事と専任義務の金額基準

主任技術者を配置しなければならない工事と専任義務の金額基準

主任技術者建設業許可で最初に押さえるべき点は、主任技術者不要な場合が基本的に存在しないという点です。

すべての工事は元請・下請を問わず主任技術者の配置が必須であり、下請での主任技術者配置も例外なく求められます。

ただし、「専任」で配置しなければならないかは工事規模によって変わります。

専任が必要となる目安は次のとおりです。

  • 請負金額が4,500万円以上

  • 建築一式工事の場合は9,000万円以上

建設業許可500万円基準は「許可が必要かどうか」を判断する基準であり、主任技術者の配置義務とは別のラインですので混同してはいけません。

また、特定建設業と一般建設業の違いは「許可区分」であり、主任技術者の配置義務自体はどちらの許可でも同様です。

専任・常駐は同義ではなく、専任=現場ごとの担当固定、常駐=常時現場にいることですが、法令上は専任義務でも常駐は必須ではありません。ただし、発注者が常駐を求める場合は別途要求が付くため、兼任が不可能となります。

以下は工事区分別基準を単純比較した表です。

工事区分 金額基準 配置義務の内容
一般工事 4,500万円未満 主任技術者配置(専任不要)
建築一式工事 9,000万円未満 主任技術者配置(専任不要)
監理技術者対象 下請総額4,500万円以上(建築一式7,000万円以上) 主任ではなく監理技術者を専任配置

では主任技術者不要な場合は本当にないのかという質問に対して答えると、法律上「工事を請け負う=主任技術者必須」となるため、不要となる例はありません。ただし、元請に監理技術者を置く規模では主任技術者ではなく監理技術者が配置されるだけで、義務が消えるわけではありません。

最後に地域運用差についてです。群馬県では営業所技術者が主任技術者を兼ねられる例外として

  • 個人住宅工事

  • 4,000万円未満(建築一式は8,000万円未満)

  • 営業所と現場が近接

などの条件があります。

しかし、これは全国共通ではなく自治体判断が異なる場合があるため、各県での確認が必要です。

専任義務の基準を理解したところで、実際に主任技術者を届け出・管理する際の具体的手続きに進みましょう。

主任技術者の届出と管理手続き

主任技術者の届出と管理手続き

主任技術者建設業許可で最初に押さえるべきポイントは、主任技術者の届出が「許可申請の手続き」とは別枠であるという点です。

許可申請段階では主任技術者の資格証明を提出する必要はありません。

主任技術者の届出方法は許可取得後、工事を受注した時点で「その工事に誰を配置するか」を行政庁へ示す手続きです。

すべての工事は主任技術者の配置が必須であるため、届出は発注者・監督職員への体制説明という意味もあります。

専任技術者(営業所技術者)と違って許可要件には直結しませんが、実際の現場で配置がない場合や要件不足であれば即法令違反に繋がるため、非常に重要な手続きとなります。

主任技術者届出書類一覧に含まれるものは自治体で若干異なりますが、一般的に次の四つが基本セットです。工事内容・資格要件・配置期間を客観的に確認できる必要があります。

  • 主任技術者通知書(様式):工事名・契約日・配置者情報記載

  • 資格証または実務経験を示す写し:担当業種と一致している必要あり

  • 雇用関係または所属を示す資料:社会保険加入確認など

  • 現場組織図または技術管理体制資料:監督職員提出用として活用される

主任技術者変更届の手続きについて質問が多いですが、行政庁に提出する告知対象は「営業所技術者」変更のみであるという点を即答できます。

主任技術者の交代は許可自体の変更届ではありません。

工事現場では発注者提出書類で実際の配置者が変わった事実を証明し、これにより法令違反を回避します。

主任技術者登録簿管理方法は会社内部管理の核心となります。

工事別にいつどの資格を持つ主任技術者を配置したのか、専任義務がある工事か、勤務実態に問題がないかを記録する方式です。

登録簿には工期・配置期間・資格区分・現場距離・兼任可否などを残しておくと監督時の説明が非常にスムーズになります。

特に監理技術者対象工事と重なる場合、専任/非専任判断の根拠を残しておくことが重要です。

届出の流れを押さえたら、主任技術者に関連する法令遵守や違反時のリスクも知っておく必要があります。

主任技術者に関する法令遵守と違反時のリスク

主任技術者建設業許可において最も重要なのは、主任技術者の不在や要件不足で施工すると建設業法第26条に直結する違反になるという点です。

この違反は非常に重く扱われ、主任技術者罰則規定としては営業停止や許可取消しのリスクと主任技術者の配置義務違反がセットで判断されます。特に、誤った主任技術者配置による行政処分は元請・下請を問わず発生し、主任技術者の勤務実態が確認できない場合も法令違反として扱われます。

行政庁は監督調査や工事成績評定、さらには入札参加資格審査の書類を通じて勤務実態を細かくチェックします。主任技術者の勤務実態確認方法として最も多いのは、社会保険加入状況、出勤記録、現場写真、工事日報などで、実際に現場に関与しているかの客観証明が求められます。

主任技術者が資格要件を満たしていない、名義貸しの状態、現場に実質不在といった事実が発覚すると、会社側は即座に是正措置を命じられ、悪質と判断されれば許可取消しのリスクと主任技術者に関する追加調査につながります。

違反として扱われやすい典型パターンを以下にまとめます。

  • 本来主任技術者が必要な工事で無資格者を配置したケース

  • 専任が必要な規模の工事で他現場と兼任させたケース

  • 社会保険未加入など勤務実態が確認できない状態

  • 監理技術者が必要な工事で主任技術者を配置した誤配置

これらはいずれも建設業法第26条違反として扱われ、行政処分は早ければ監督調査の段階で確定します。違反発覚の多くは入札時の確認や発注者側の調査を通じて見つかるため、日常的な配置管理の精度が最も重要になります。

最後に、主任技術者制度の見直しや法改正の動向を確認し、今後の対応策について整理しましょう。

最近の法改正と主任技術者制度の今後

建設業法改正と主任技術者への影響で最も大きいポイントは、令和2年の制度見直しで「経営業務管理責任者」という個人要件が廃止され、会社として経営業務を管理する能力を組織体制で示す方式に変わったという点です。

この変化は主任技術者建設業許可の技術者要件そのものを緩和したものではありませんが、許可取得時に技術者と経営要件をどう組み合わせるかがより柔軟になった効果があります。

特に小規模業者や家族経営の事業者には、役員+補佐者体制で経営能力を証明できる構造が可能になり、許可取得の門戸が広がった事例として評価されています。

主任技術者要件の緩和事例と言える部分は、技術者個人の条件が緩和されたのではなく、技術者配置と経営体制を分離して判断できるようになり、組織体制の組み方次第で許可取得が容易になった点が核心です。

ICT活用による専任特例も重要な変化です。

特に監理技術者・主任技術者の専任義務がある現場で、遠隔臨場を活用して専任扱いを受けられるケースが増えており、しかしこの特例は自動的に適用されるものではなく、行政庁への事前確認、運用マニュアル要件充足、現場側の通信・映像体制確保、施工体制台帳の正確な整備などが必須ですので、実際には適用条件がかなり厳格です。

建設現場が複数地域に分散している場合や、技術者が兼任不可能なラインを超える工事規模であれば特例が認められないため、企業側ではまず「自社案件が特例該当性があるか」を慎重に判断する必要があります。

それでもICT活用による専任特例は、主任技術者建設業許可制度で今後ますます重要な役割を果たす流れになっており、人手不足の状況で合法的に対応幅を広げる現実的な選択肢として定着しています。

企業が今すぐ確認すべきチェックポイントは以下の三つです。

  • 経営業務能力の証明方法が旧制度と整合しているか、役員体制・補佐者体制が要件を満たしているか

  • 専任義務が発生する工事の規模、主任技術者・監理技術者の兼任可否ラインを正確に把握しているか

  • ICT特例を使う場合、行政庁確認・遠隔臨場設備・施工体制台帳整備の三点が揃っているか

主任技術者 建設業 許可のポイント整理と判断のヒント

ここまでで、「主任技術者」が建設業許可においてどのような役割を果たすのか、そしてどんな資格や経験でその要件を満たせるのかを整理してきましたね。主任技術者は現場の品質・安全・法令遵守を担保する中心的な立場にあり、許可取得時のみならず、工事現場ごとに配置が求められる場合もあります。

また、専任技術者との兼務や配置の可否は、受注金額や契約形態によって変わります。ここで混同しやすいポイントですが、「専任技術者=営業所単位」「主任技術者=現場単位」で求められることを意識すれば整理しやすいです。資格については、該当する国家資格や一定年数の実務経験を証明できれば要件を満たせます。

特に中小建設会社では、国家資格を持つ人材がいない場合に「自社社員が実務経験で該当できるか」を判断する場面が多いです。その際は、過去の請負実績・工事写真・契約書類などの裏付け資料が重要になります。不明点を残したまま申請すると不備が出ることもあるため、事前整理が欠かせません。

最後に大切なのは、「主任技術者」を単なる形式的な配置義務ではなく、自社の信頼力と事業継続性を支える要素として捉えることです。要件を正確に理解し、自社に合った人材配置を進めれば、スムーズな許可取得と安定した現場運営につながりますよ。複雑に感じていた主任技術者要件も、この構造さえ押さえれば十分に対応できます。これであなたの迷いも少し軽くなったはずです。

よくある質問

建設業法で主任技術者はどのような役割を果たしますか?
主任技術者は、すべての工事現場に必ず配置される技術責任者であり、施工計画の確認、品質確保、安全管理などの実務を総合的に担います。元請・下請を問わず必須で、主任技術者がいない工事は建設業法第26条違反となります。
主任技術者は500万円以下の工事でも必要ですか?
はい、500万円以下であっても主任技術者の配置は必要です。500万円基準は「建設業許可が必要かどうか」の判断基準であり、主任技術者配置義務とは別のものです。小規模工事でも主任技術者を配置しなければ法令違反となるため注意が必要です。
主任技術者の資格要件と実務経験の基準はどのようになっていますか?
主任技術者になるには、建設業法第7条第2号に基づき、①1級・2級施工管理技士などの国家資格を持つ、②指定学科卒業+実務3~5年以上、③実務経験10年以上のいずれかを満たす必要があります。資格がなくても経験で認められる場合がありますが、契約書や工事書類などで客観的に証明する必要があります。