建築一式工事の許可取得は、中小企業にとって、事業拡大と信頼性向上の鍵となる重要なステップです。
この許可を取得することで、受注可能な工事の範囲が大きく広がり、企業の信用力も向上します。結果として、自社の成長に大きく貢献します。
しかし、許可取得のプロセスは簡単ではありません。多くの要件を満たす必要があり、適切な準備と知識が求められます。
この記事では、建築一式工事の定義や範囲を明確にし、許可取得に必要な具体的な要件を詳しく解説します。また、申請プロセスをスムーズに進めるためのコツやポイントもお伝えします。
これから許可取得を目指す中小企業の皆様の競争力向上にお役に立てれば幸いです。ぜひ最後までお読みください。
建築一式工事とは?
建築一式工事の定義と範囲
建築一式工事とは、総合的な企画や指導、調整に基づいて行われる建築物の建設工事のことです。
主に大規模で複雑な工事が対象で、建築確認を必要とする新築工事や増改築工事、大規模改修工事などが該当します。
建築一式工事の特徴として、元請として下請の専門業者を指導・調整する業務も含まれます。
建築一式工事を実施するには、建設業許可が必要です。この許可は、請負代金が1,500万円以上の工事や、木造住宅で延べ面積が150㎡以上の工事に対して必要となります。
また、建築一式工事の許可を取得していても、500万円以上の専門工事(例:屋根工事、内装仕上げ工事など)を単独で請け負う場合は、それぞれの専門工事業の許可が別途必要となります。
大工工事やとび・土工工事との違い
建築一式工事は、しばしば大工工事やとび・土工工事と混同されることがありますが、その範囲と要求される能力は大きく異なります。
- 大工工事
主に木造建築物の工事に特化している。木材を使用した建築物の骨組みや内装工事が中心。
- とび・土工工事
建築物の基礎工事や足場の組立て、解体等が主な業務。地盤改良や土木工事なども含まれる。
一方、建築一式工事は、これらを含む建築工事全体を管理・施工し、建物全体を完成させる役割を持ちます。例えば、一軒の家を建てる場合、基礎工事から屋根工事、内装工事まで、すべての工程を統括して行うのが建築一式工事です。
建築一式工事の許可取得の要件
専任技術者の要件
建築一式工事の許可取得において、最も高いハードルとなるのが専任技術者の確保です。専任技術者には、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
一般建設業の場合
- 資格による要件
・1級建築施工管理技士または2級建築施工管理技士(建築)
・1級建築士または2級建築士 - 学歴と実務経験による要件
・建築関連の学科を卒業し、以下の実務経験を有する者
・高卒:5年以上の建築一式工事に関する実務経験
・大卒・高専卒:3年以上の建築一式工事に関する実務経験 - 実務経験のみによる要件
・建築工事に関する10年以上の実務経験
特定建設業の場合
特定建設業の専任技術者には、より高度な要件が求められます。具体的な要件は以下の通りです。
- 1級建築施工管理技士または1級建築士の資格を有すること
- 建築学、機械工学、電気工学などの指定学科を卒業し、卒業後に一定期間の指導監督的な実務経験を有すること
・大学卒:3年以上
・短大・高専卒:5年以上
・高校卒:10年以上
実務経験の証明の難しさ
中小企業にとって、専任技術者の要件を実務経験で証明するのは非常に困難です。
例えば、10年以上の実務経験は、120ヶ月分の建築一式工事の経験に相当します。
しかし、中小企業では一人の技術者が様々な役割を担当することが多く、純粋に建築一式工事の実務経験だけを積み重ねることは現実的ではありません。
また、10年間すべての工事実績を詳細に記録し、これらを適切に証明する書類を準備するには、膨大な時間と労力が必要です。
これらの理由から、多くの中小企業が実務経験での証明に苦心しているのが現状です。
建設業許可取得のために欠かせないポイント
専門家への相談の重要性
建築一式工事の許可を取得するには、かなり専門的な知識が必要です。
行政書士などの専門家は、許可取得に必要な書類作成や手続きをスムーズに進めるための知識と経験を持っています。
専門家のサポートによって、書類の作成から提出、必要な証明書の取得まで、建設業許可取得に関する全てのプロセスを丁寧に対応してもらい、不備による申請却下のリスクを減らすことが重要です。
資格取得という選択肢
もう一つの戦略として、資格取得を目指すことも考えられます。
ここまで説明してきたように、建築一式工事の専任技術者になるためには、一定の資格が必要です。
一級建築士や一級建築施工管理技士の資格は難易度が高く、準備に数年かかることもあります。しかし、長期的な視点で見れば、これらの資格は建設業界でのキャリアとして大きな強みとなります。
当事務所では、私自身が建設系資格取得学校で講師も勤めているため、資格取得に向けた具体的なアドバイスや支援が可能です。
資格取得をお考えの際は、是非、ご相談ください。
確実な許可取得のために
建築一式工事の許可取得は、中小企業にとっては大きな挑戦ですが、事業拡大の重要なステップでもあります。
専門家への相談や資格取得を考えることで、許可取得に向けた道筋が見えてきます。
許可取得や資格取得をお考えの方は、ぜひ当事務所へお問い合わせください。私たちが全力でサポートいたします。
最終更新日:2024/08/02
注意:法律・制度は改正される可能性があります。本記事の内容は最終更新日時点のものです。最新かつ正確な情報については、関係機関への確認や専門家へのご相談をおすすめします。
また、本記事は群馬県を基準に執筆しており、他地域では異なる場合もありますのでご注意ください。
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